Kidscussion(Kids + Discussion)は、日常では深く考えないようなことや、良い面/悪い面を併せ持つようなテーマについて子どもたち主体で話し合っていくアクティビティです。2017年10月末より、新たにまなびスペースの活動としてスタートしました。
子どもたちの本音を聞きながら、社会について考える機会を提供していきます。
第一回のテーマ:「勉強」
今回は、初めてのキッズカッションのテーマということで子どもたちの最も(?)身近な活動である「勉強」について話してみました。
子どもたちは、なぜ勉強をするのか、そして普段の学習についてどのように感じているのか。本音を聞いてみました!
参加者: F=ファシリテーター K=小学3年生男子 W=小学3年生女子
勉強って何?
F:これから2人に話し合いを進めてもらおうと思うけど、今日は初めてだから身近なテーマにしてみよう。2人は「勉強」ってなんだと思う?
K:ぼくはあんまり考えたことがないけど、「大人になるための修行」みたいなものかなぁ。
W:私もKに似てるけど、「大人になるための練習」だと思ってる。
F:じゃぁ、具体的に2人は何を勉強してるの?
W:今は学校でー、国語は「ちぃちゃんの影送り」でしょ。算数は九九のひっ算、社会では町のことを調べてポスターにしてて、理科は昆虫研究をやってる。
K:ぼくは後は…漢字の練習とか。でもね、ぼくは料理の勉強とかがしたい。
どんな勉強をしたらいい?
F:お、面白いね。じゃぁいま料理の勉強っていう話がでたけど、どんな勉強をしてくれればいいと思う?
K:生きるためというか…生活に必要なことをしっかりやるのがいいと思う。一人暮らしする時に役立つような。
料理はぼくまだパスタとかカレーとかしか作れないから。あとごはんは炊けるよ。
W:ほんとに?すごいじゃん!カレーとか作れるんだ。私は玉子焼きとか、目玉焼きとか、だし巻き玉子とか、あとはスクランブルエッグならできる!
F:玉子料理ばっかりだね(笑) 二人ともちょっとでも料理できるなんてすごいね。じゃあ料理のほかにはどんな勉強がいいと思う?
W:図工とかでもっと本格的なことをしたい。もう3年生だからハードなこともできるのに学校の先生は簡単なことしかさせてくれないから。
K:たとえばどんな?
W:ノコギリを使って木(木材)を切って何か作ったり、あとはペットボトルのロケットみたいなの作ったりとか。後はスイミングとか。
F:スイミングは学校でもやるでしょ?
W:学校でもやるけど、3年生は距離とかも短いし…。図工もね、6年生とかはノコギリを使ったりできるみたい。
F:料理も調理実習があるしね。2人は3年生だからまだ「家庭科」の授業がないけど、小学校~中学校を卒業するまでの間にどれぐらい調理実習とかあると思う?
K:そういうことを聞くってことは少ないってことだよね。10回ぐらい?
W:4年生から中学3年生まで1年に1回ぐらいだとして…6回ぐらい?
F:学校にもよると思うけど、自分がいってた学校では6回もやらなかったと思うぐらい少なかったかな。
K:さっきのWの図工とかスイミングとか聞いて思うけど、ぼくはやっぱり勉強っていうのは自分にあったペースでやるべきだと思う。だから、まなびスペースはいいと思う。
F:宣伝みたいだね。(笑)ありがとう。ほかに、2人が普通に勉強している国語とか算数とかでもいいからどんな勉強が大事かな?
K:算数。計算とか…図形とか。普段の生活とか仕事とかに役に立つと思う。
W:私も算数だと思う。私のお父さんはいろいろな形を組み合わせて、医療用の作業道具とかを作ってるしやっぱり大事だと思う。
K:将来なりたいものが決まってたらそれに合わせた勉強をしたらいいと思う。
W:それと、自分で調べたり考えたりするのも必要かな。
勉強のこと、どう思ってる?
F:じゃあ、結局勉強は必要なことだと思う?
W:思う。社会に溶け込むのに必要。
K:うん。いろんなことを知ることができるから。
F:最後の質問。勉強って好き?
W:算数以外は好きだけど、算数は苦手だから嫌い。
K:正直嫌い。勉強って、何か…あれこれ「やらなくちゃいけない」から。宿題とか、学校の授業とか…。
でも、なんで嫌いかっていうのは難しいかも。
F:なるほど、大事だけどやっぱりあんまり好きではないんだね。2人ともありがとう!
総評
みんな勉強すること、まなぶことの大切さはよくわかっていて、教科によってはむしろ勉強は好きみたいですね。
大人が考えなければいけないのは、アプローチの仕方のような気がします。考えさせられますね。
また、子どもたちの話から「自分がやりたいことや自分のレベルにあったことを存分にできない」ということが不満になっている様子が見えてきました。
まなびスペースなど、学校外でそういう部分にフォローしていけるようにするとまなびに対するモチベーションは引き上げられると思いました。
子どもたちは「勉強は大切」と自然に感じています。だからこそ、それが「やらなきゃ、できなきゃいけない」という心理的な負担になっている部分があり、嫌いに繋がってしまっているように感じました。
「やらなきゃ」ではなく「やりたい!」を実現できる教育環境をどんどん目指していきたいですね!
最後に嬉しかった点として、受動的な学習だけでなく「自分で調べたり考えたりする力」も必要だということが身についてきている点です。これからも積極的にその力を伸ばしていきたいですね。