Kidscussion(Kids + Discussion)は、日常では深く考えないようなことや、良い面/悪い面を併せ持つようなテーマについて子どもたち主体で話し合っていくルミオハナ独自のアクティビティです。子どもたちの本音を聞きながら、社会について考える機会を提供していきます。
第四回のテーマ:AI社会について考える
今後20年以内に、今の約半数の仕事がAIにとって代わられると言われる世の中になっています。
今の子どもたちにとって自分が大人になったときに社会がどうなっているのか?私たち大人にもわからない近い将来について考えてみます。
参加者: F=ファシリテーター K=小学3年生男子 W=小学3年生女子 I=小学1年生男子
「AI」ってなんだろう?
F:今日のテーマはずばり「AI」について話していきたいんだけど、まず「AI」が何かわかるかな?
K:しってる!人工知能だよね。
I:しらない。
W:人が作ったものを人工というんです。
K:あのね、プログラムされたものだけじゃなくて、自分で考えられるロボットとかそういうの。パパに聞いた。
F:そうだね、今の説明でなんとなくわかったかな?機械が指示通りに動くだけじゃんくて、自分で学んだり考えたりできるようなイメージだね。じゃあそのAIについてどう思うかな?例えばAIがお仕事したり、友達にAIのロボットができたりするかも。
W:AI化が進むと便利になると思う。例えば、先生がAIだったら授業の進め方も変わってすごく早くなる。プリントとかのまる付けもすぐに終わっちゃったり。悪いのは、AIロボットの友達から宿題の答えを全部教えてもらっちゃうとか、悪党の仲間入りして悪いことするかもしれない。友達も、人間じゃなくてロボット友達としか遊ばなくなっちゃったりしそう。
I:仕事ができるロボットがいたら、人間は楽になるけど大人も頭が悪くなってしまいそう。貧乏な人が増えて、地球が大変なことになるかも。
K:きっと地球は人工知能に支配されてしまう。人の仕事がなくなっちゃうし、よくないと思う。AIの数を多すぎないようにしてほしい。
I:楽になるのはなるのはいいけど、なりすぎはダメ。僕のパパもいつもそういってる。なんでもやりすぎはダメって。
AI社会で人間は何をしたらいい?
F:確かにAIが増えたら人間の仕事がなくなっちゃうかもね。じゃあ、もしAIが本当に人間の仕事をやって今の仕事がなくなっちゃったとしたら人間はどうしたらいいと思う?
K:そのAIを作る仕事をすればいいと思う。あ、でもAIのロボットにその仕事ができちゃうかも…
W:たぶんね、もう絶望しちゃって家に閉じこもりぎみになっちゃう。
I:ロボットが何でもしてくれちゃうなら暇すぎてぼくだったら死んじゃうかもしれない。一日中ゲームしてると思う。ママなら一日中寝てそう(笑)
K:ロボットができないことをすればいいのかも。
W:スポーツとかはたぶん難しいから、人間がやればいいと思う!
I:ぼくはスパイになりたいけど、標的の基地に乗り込むときに、ロボットにかわりにやってらえば撃たれても大丈夫になるからそれがいいと思う。
K:ぼくもやっぱりオリンピックとかそういうスポーツは人間がいいと思う。
I:でもロボットが好きだから、何でもロボットとかにやらせるのはかわいそう。
K&W:むしろ人間が(仕事がなくなって)かわいそうになりそう!
AIがすべきこと、人間がすべきこと。
F:さっきスパイの話がでたけど、その他にも火事の時に人を助けるような仕事とか、そういう危ない仕事をAIがするのはどう思う?
W:いいと思う。それはロボットがやるべき。
K:人間がやれることは人間がやって、どうしても出来ないこととかはAIにやってもらうのがいいと思う。
W:ケガしたり、死んじゃうようなことは人間はやらないほうがいいと思う。きっと将来、その仕事を人がやってたって言ったら「馬鹿じゃないの?」って言われるんじゃないかな。
F:本当にそういわれる日がくるかもね。ほかに、例えば人を楽しませる仕事とかはどう?みんなが見て面白いって思えるものがAIにわかるかな。
K:たぶんわからないと思う。
I:そういうのは人間がやったほうがいいと思う。
K:やっぱり、AIの数を増やしすぎないで人間とAIの間で上手く仕事をわけたほうがいいと思う。
W:私もそう思う。
F:じゃあ最後に今日の感想をそれぞれどうぞ。
K:これからは人間の仕事も本当になくなっていきそうだから、そういう未来のこととかを考えられてよかったと思う。今のこどもは勉強しても、未来では勉強した意味がなくなっちゃうかもしれない。そうならないように、うまくバランスをとっていかなきゃいけない。
W:将来の夢の獣医さんは、大きくなった時に仕事が残ってるか心配になっちゃった。AIは人よりも増えないように利用すればいい。
I:ぼくも仕事がなくて大人になってただのおっさんにならないか心配。ロボットが増えすぎたらロボット同士で戦争とかになるかも。
総評
身近にPCやスマートフォンといったデバイスに囲まれて育っている今の子どもは、機械の優秀さが実感としてよく分かっているようでした。
それだけにAIが人の代わりに仕事をするという将来も想像に難くないようで、その未来に対してどうすべきかを考える第一歩になったようです。子どもたちの議論の中から見えてくるのは「バランス」。人間はAIに頼りすぎてもいけないし、かといって反発し原始的な生活に戻るようなことも現実的ではありません。
必ず来る人工知能によるパラダイムシフト。
そんな時、子どもたちに必要なことは「今、自分はどう動くか」を見いだせる知恵と「流れを読む」高いアンテナなのではないでしょうか?
探求心、想像力、育っていますでしょうか?