Kidscussion(Kids + Discussion)は、日常では深く考えないようなことや、良い面/悪い面を併せ持つようなテーマについて子どもたち主体で話し合っていくルミオハナ独自のアクティビティです。子どもたちの本音を聞きながら、社会について考える機会を提供していきます。
第8回のテーマ:クローンについてどう思う?
今日はクローンについて話すよ。この間、中国でサルのクローン実験が成功しました。サルは「霊長類」って言って人間の仲間。これが成功したことで、世界中で話題になってるんだ。そもそもクローンって何か知ってる?
G:しらーん
B:なんか生き物をコピーして増やす感じ?
そう、その通り。「遺伝子」ってあるよね。人それぞれの個性を決めてる、まぁ、生き物のデータだね。その生き物のデータをコピーするとまったく同じ生き物ができますよってこと。
クローン実験が成功したことで有名になったのはイギリスの羊でドリーっていうんだよ。じゃあ、クローンってなんでこんな話題になってると思う?
B:わかんない。
G:難しいことを成功させたから?
それもあるね。クローンの歴史は長いから、やっとここまでという感じかもね。だけど、それだけじゃないよ。サルのクローンができるということは近い未来人間のクローンもできるってことだよね。でも日本も含めて世界中で、人間のクローン実験は禁止されている。これはなんでだと思う?
B2:えっと、同じ人間が二人いたらどっちが本物なのかわからないから。名前とかでは分けられるけど、二人まったく同じ人間がいたらこまる。
どんな時にこまるの?
B2:一人の子がめっちゃ意地悪な性格で、ずるがしこい子だったらいやでしょ?それが2人になったら親はすごく大変になる。
なるほど!笑。でも、そしたら、その子クローンをしなければよくない?
B:コピーが作れたら、命の大切さがなくなっちゃうんじゃないかな。
B2:命がたくさん作れるって思う人が出てきて、誰かが死んでも「クローンを作ればいいや」って思っちゃうよね。
G:いまも、自殺とかが増えてるじゃん?その事件がもっと多くなるんじゃない?あと誘拐とか。
それはなんで?
G:クローンでたくさん人が作られたら、その人が世界に一人じゃなくなってしまうのでその人を大切にしなくなってしまうから。
クローンを作ると人間の価値が下がるってことか。なるほどね。じゃあ、みんなは自分のクローンは作りたくない?
G:ほしくない!だって、自分だけ大切にされたい。一人っ子だし!
B:自分のコピーがいたら、気持ち悪い。
B2:でも、もしいざとなったとき、例えば僕が誘拐されて殺されちゃったとしても、ドラえもんのスペアポケットみたいに自分の予備があるということになって、親が悲しまないかもしれないよ。自分の親を心配させなくても大丈夫になる。
G:そうかなあ?
まさに、その点がいま問題になっている。昔、子どもを交通事故などで亡くした親が、自分の子どもにもう一度会いたいと強く思ってクローンを希望するかもしれない。そういうケースはどう?
B:ダメだと思う。たしかに死んじゃったから悲しいは悲しいけど、なんでまた同じ子が生きられるのかっていうのは僕はわからない。
G:まったく同じ子じゃなくてもいいと思う。クローンじゃなくても、また子どもを産めばいいと思う。生まれてくる子は、見た目は同じだけど、中身は違う子に育つはずだから別にクローンじゃなくてもいい。
B2:どうせ、見た目が同じだけで中身は違うんだからクローンがいても、別の子がその子に変身しているようなもの。
じゃあみんなはクローンに反対?
ALL:うん。
わかった。じゃあ今日のキッズカッションはここまで。ぜひおうちでも話してみてください。
感想
今回は時事としても話題のテーマに触れてみました。子どもたちからの回答は意外性のあるものが多く、また、「自分が二人いたら気持ち悪い」など、より人間本来の感覚に素直な回答でしたね。
クローンは必ずしも自分のコピーではないこと。また別の人間であり、どちらも本物であることなどは想像しにくいようでしたが、成長し、人権問題などを議論できるようになってくるとさらに面白いディスカッションができるのではないかと思いました。
ぜひ、ご家庭でもクローンについて話してみてください。ミニオンズはクローンなのか?有効に活用できる方法は?など建設的に考えてみるのも面白いかもしれませんよ!